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【書評】シン・ニホン|まだ読んでいない方は是非。今の日本を知るために必読の一冊。【安宅和人】

こんにちは、ジンゴロ(@jingolox)です。

2020年もあと1日を残すのみ。コロナウイルス流行のため、外出もままならない状況かと思いますが、いかがお過ごしでしょうか。

今回の記事では、安宅和人さんの「シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成 (NewsPicksパブリッシング)」をご紹介したいと思います。

2010年に名著『イシューからはじめよ』を執筆し、2016年にはTEDxTokyoで日本の未来を「シン・ニホン」というコンセプトで鮮やかに示した安宅和人氏、2冊目の単著。著者はヤフー株式会社のCSOだけでなく、近年はデータサイエンティスト協会理事なども務め、政府に対しても多くの問題を提起している。慶應SFCの教授としても日々次世代を生きる若者に知恵を授ける日本の代表的知性が説く、日本逆転の一手とは。AI×データがもたらす時代の変化の本質と、それに個人、そして日本がどう備えるべきかを膨大な分析から解き明かす。

著者:安宅和人
本体価格:2400円(+税)判型:A5並製
発行年月日:2020年2月18日
ISBN978-4-910063-04-1

https://publishing.newspicks.com/archive/ Newspicks 刊行書籍一覧 より

今年の2月の出版され、既に14万部突破だそうです。

437ページという少し厚めの本の中には、今の日本が抱えている問題や、今後の日本がどうあるべきか、どう進むべきかを考えるための知識やアイデアがギッシリとつめこまれています

これほど体系的にデータ分析と論拠がまとまっている本はこれまで見たことがありません。

ジンゴロ
日本が置かれている現状を客観的な情報に基づいて知ることが大事です。現状を知るだけで、日々みているニュースや新聞、政治家の発言に対する見方が大きく変わります!

こんな人にオススメ

この本は以下のような方々にオススメします。

  • 日本が置かれている現状を把握したい方
  • 日本が取るべき方向性を理解したい方
  • 「人を育てる」立場にある方
  • 理系・文系に迷っている中学生・高校生
  • 漠然と日本の将来が不安な方

著者のご紹介

この本の著者は安宅和人(あたか・かずと)さんです。

データサイエンティスト協会理事。東京大学大学院生物化学専攻にて修士課程終了後、マッキンゼー入社。4年半の勤務後、イェール大学脳神経科学プログラムに入学。2001年春、学位取得(Ph.D.)。ポスドクを経て2001年末マッキンゼー復帰に伴い帰国。マーケティング研究グループのアジア太平洋地域中心メンバーの一人として幅広い商品・事業開発、ブランド再生に関わる。2008年よりヤフー。2012年7月よりCSO(現兼務)。全社横断的な戦略課題の解決、事業開発に加え、途中データ及び研究開発部門も統括。2016年春より慶応義塾大学SFCにてデータドリブン時代の基礎教養について教える。2018年9月より現職。内閣府 人間中心のAI社会原則検討会議 構成員、官民研究開発投資拡大プログラム (PRISM) 運営委員、経団連 未来社会協創TF委員なども務める。著書に『イシューからはじめよ』(英治出版、2010)。

https://pixiedusttech.com/pixienest/kazuto-ataka/ ピクシー・ダスト・テクノロジー社のウェブサイトより

1968年生まれということで、本日現在、52歳でいらっしゃるようですね。

ということは、名著「イシューからはじめよ」を書かれた時はつまり、42歳ごろだったんですね。

「イシューからはじめよ」は、安宅さんが書いていたブログの記事がベースになっているようです。まだ当時の記事を読むことができるようなので、リンク先を貼っておきます。

東大大学院(バイオ系)→マッキンゼー→イェール大学→マッキンゼー復帰→ヤフーおよび慶應大学教授という経歴をお持ちです。

サイエンス×ビジネスの両刀使いと言えるキャリアですね。

ジンゴロ
マッキンゼー→イェール大学というキャリアが興味深いですね。

【シン・ニホン】ジンゴロの書評

「シン・ニホン」というこのなかなか珍妙なタイトルですが、もとは2016年の映画のタイトル「シン・ゴジラ」から取られているようです。

ふむ、なるほど。

では「シン・ゴジラ」シンってなんでしたっけ、となりますが、以下の記事にその命名理由が書かれていました。

https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2015/09/23/kiji/K20150923011187800.html

該当部分のみ、引用させていただくと、

タイトルは庵野秀明総監督(55)が「新」「真」「神」などさまざまな意味を込めて命名。

https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2015/09/23/kiji/K20150923011187800.html

だそうです。

漢字で書くと、「新日本」や「神日本」。うーん、カタカナで「シン・ニホン」と書くのが良さそうですね笑

さて、本書の前半では、安宅さん独自の大局的な視点に基づいて、日本の現状分析と、将来取りうるべき方向性が提示されています。

ジンゴロ
事実を知ることが大切と思い知らされます

少し内容をご紹介しましょう。

一人負けを続けた15年間

P.68に「一人負けを続けた15年間」という見出しで、近年、日本だけがGDPの成長曲線に乗りきれず、生産性の伸びが停滞しているデータが示されています。また、それは情報通信分野のみならず、あらゆる産業セクタにおいて、日本のみが成長できてきない「一人負け」の状態とのこと。

安宅さんはこのように述べています。

日本の大半の産業はやるべきことをやっていないだけで、まだ着手できていない宿題がたくさんあるということだ。(中略)多くの分野で伸びしろは巨大だ。伸びしろだらけと言っていい。

P.073 より一部抜粋

伸びしろ」にあふれている日本。こう言われると、前向きになれますよね。

世の中を変えるような革新的な技術や発明が必要というわけでなく、他の主要国と同じように、当たり前のことをしっかり取り組むだけで、まだまだ日本はまだ成長できるはずなのです。

ジンゴロ
一人負けの状態を政府や国民がしっかり認め、目に見えた対策を打っていかねばいけませんよね。

女性とシニア層の才能を活用できていない

日本の女性がもっともっと社会で活躍できるはずと、安宅さんは説きます。確かに、日本の社会構造そのものが男性に最適化されすぎていて、女性の社会進出を大きく阻んでいますよね。

安宅さんはこの状況を次のように説明します。

女性がリーダー層において十分なプレゼンスを持っていないことが日本において女性があたかもセカンドクラス化している大きな原因であることは明らかだ。

P.084 より一部抜粋

かつて、僕が働いている部署も22時以降の退社があたりまえだった時期があります(今でも時期によっては)。そんなチキンレース or 我慢大会みたいな働き方が求められるなかでは、その家族が家の仕事をしなければならなくなります。その場合、日本では、仕事は男性、家庭は女性という図式が脳内に刷り込まれているので、どうしても女性が家に入らざるを得なくなります(良くも悪くも女性側もそう思っているでしょう)。

ジンゴロ
こんな働き方の職場では、外国の方を採用することもできないですよね。

シニア層についても、安宅さんは次のような表現を用いて説明しています。

我が国の社会では65年で有無を言わさず、原則全てを伐採されているということだ

P.088 より一部抜粋

65歳という年齢でまだまだ働けるにも関わらず、定年という仕組みでそのキャリアに終止符を打たねばならない現状は、大きな社会的損失といえそうです。

ジンゴロ
シニア層が活躍できる仕組みや受け皿を準備する必要がありますね。

日本が勝つチャンスは残されている

さて、このまま日本は沈没してしまうのでしょうか。

安宅さんはそうではない、と説きます。

産業革命以降における、当該産業が習熟するフェーズを3段階に分けて考えてみると、日本はまだまだ勝ち目があるとのこと。

日本は歴史的に見てみると、フェーズ1をやったことがない。フェース2、フェーズ3の勝者なのだ。

P.115 一部を抜粋

ここでいう、フェーズ2,3とは、技術を高度に応用し、複雑なエコシステムとして構築する期間にあたります。確かに、日本人は技術の創出よりも応用化、実用化を得意としてきた歴史があります。

映画シン・ゴジラ内のセリフで「この国はスクラップ&ビルドでのし上がってきた」という言葉が、まさにこの日本という国にあてはまるのだと、安宅さんは述べています。

果たして、再び日本が世界をビジネスでリードする国になりうるのでしょうか。

僕が思うに、1990年ごろからの日本の勢いが落ちている原因として、グローバリゼーションの波に乗り切れていない、という点が大きいかなと思っています。また、インターネット技術はこの世界のグローバリゼーションを一層加速させるものでした。

鎖国主義といいますか、島国根性とでもいうのか、自ら変わって世界の潮流に乗ることができない(または、望まない)日本人的気質がビジネスの世界で露呈しているものだと思っています。

この場でそれに対する答えは出せませんが、日本人がこの現実を直視し、自ら変わらなければいけないという意識を持たない限り、日本のプレゼンスがさらに落ち込んでしまうことは避けられないことかと思います。

今後の日本で求められる人材とは

これから、日本が再生するためには、どのような人材が求められるでしょうか。

安宅さんは次のように述べています。

これからは誰もが目指すことで一番になる人よりも、あまり多くの人が目指さない領域あるいはアイデアで何かを仕掛ける人が、圧倒的に重要になる

P.151 より一部抜粋

つまり、既存の枠組みの中で規模を広げられる人材ではなく、新規のビジネスをゼロから作り出すことができる人材、ということになります。

日本は人口が減少傾向にあるため、既存の枠自体を広げることは容易ではなく、目覚ましい成長は見込めません。人口増加や、資源の豊富さが重要な要素となるパワーゲーム勝負では、日本は勝ち目はなさそうです。

既存の技術であっても、それを磨き、洗練させることによって、新しいビジネスとして仕立て上げられる人材が日本に必要なのではないでしょうか。

まとめ

今回の記事では安宅和人さんの「シン・ニホン」を取り上げました。

国家がどうあるべきかといった大局観やビジョンは一部の人間だけでなく、多くの人々が共有してこそ実現しうるものです。是非、まだ読んでいない方はこの本を手に取ってみて欲しいです。

安宅さんもキーパーソンの一人になるであろうデジタル庁ですが来年2021年の9月に発足します。どれだけこの領域でイニシアチブをとって、デジタル改革を進められるかも注目ですよね。

コロナウイルスは世界中の多くの方々の人々の生命に危機をもたらしていますが、ある意味、コレまでの常識は、全く常識では無いという事実を世の中に知らしめました。

例えば、会社に行くことは誰もが当然のことと思っていたのに、今年4月以降行ったのは購入品の受け取りなど、10日程度。あとは全て在宅によるリモートワークで事足りてしまいました。

ジンゴロ
一年前、”全社員の原則テレワーク&定期券廃止”が実現できると予測した人はいなかったはず。

今までの常識をひっくり返すような大改革は決して絵空事ではなく、実現できることをこのコロナ禍という状況が皮肉にも示してくれました。

世界は今後、いっそう少子高齢化対策や、資源枯渇対策が求められるフェーズに進んでいくと思われます。それらを多くの国より一歩先に経験する日本の産業が再び世界の産業界をリードしていく立場になることは決して不可能ではないと思います。

政府、企業、個人が一体となってこの問題に取り組んでいく、そんな雰囲気がどんどん醸成されて欲しいと思います。

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